昨日(2008年11月1日)、第15回BRUSH-UPセミナーが札幌市白石区民センターで行われました。学芸会シーズンにも関わらず定員いっぱいの参加者がありました。時代と共に変わる教師の立場とそれに対応するために今何が必要かを参加者のみなさんと一緒に考えました。
学級経営と授業運営に関わってシンポジウムや分科会など濃い一日でしたが大変充実した時間を過ごすことができました。様々な立場からの提案やその検討、自分の置かれている立場での振り返り等を参加者のみなさんとお話しできたことが良かったです。運営側にも関わらず、体と心にエネルギーを注入していただきました。
このような研修会は自分の立場や仕事を客観的に振り返る良い機会となっています。学校にいると毎日に忙しさにともすれば埋もれてしまいそうになります。だからこそ、少し離れた場所でこうして自分自身を冷静に振り返ることが必要なのでしょう。
さて、この会では私も2つの分科会で登壇させていただきました。子供たち、保護者の前に立つのとはまた別のプレッシャーがありますが、その分、収穫も多いです。こういう経験をさせてもらっていること、とても有り難く思います。資料を一つ作りました。こんなことを考えて授業をしています。
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「基礎的な授業技術を身につける3つのポイント」
基礎的な授業技術を身につける3つのポイントとして以下の3点を挙げます。
(1) 授業設計に意図を持つ
(2) 授業構成の枠組みとその意図を意識する
(3) 授業の原則を使いこなす
(1) 授業設計に意図を持つ
北海道大学大学院教授の鈴木誠氏は授業の構成要素として次の6つを「意欲を引き出す授業デザイン」(東洋館出版社)の中で挙げています。私もまったく同感です。
・ 目標
・ 授業計画
・ 教材
・ 指導方法
・ 授業形態
・ 評価
これらの一つ一つに明確な意図を持ち、授業設計を肝要です。そして、最も大切なのが出入口(目標と評価)を明らかにすることです。出入口を明らかにするとは「何を学ぶか、何を身につけるのか」を明らかにするということです。ここがはっきりすれば、児童の実態に応じて適切な指導方法や授業形態も自ずと決まります。また、出入口は児童にも明確に示すことが必要です。学習している内容を意識させ、努力の方向を示すことにもなります。
(2) 授業構成の枠組みとその意図を意識する
日々の授業を行う上で基本となる授業構成の枠組みを持っていることは重要です。例えば、インストラクショナルデザインの第一人者であるロバート・M・ガニェ意識するガニェは「9教授事象」という授業における構成要素の優れた枠組みを示しています。この枠組みは教科に関係なく転用が可能です。
1, 学習者の注意を喚起する
2, 授業の目標を知らせる
3, 授業の前提条件を思い出させる
4, 新しい事項を提示する
5, 学習の指針を与える
6, 練習の機会をつくる
7, フィードバックを与える
8, 学習の成果を評価する
9, 保持と転移を高める
ガニェ『インストラクショナルデザインの原理』(北大路書房)
ここで示されていることは何も特別なことではありません。しかし、一つ一つの枠組みを意図的に授業に組み込むことで確実に授業が改善されます。ぜひお試し下さい。
(3) 授業の原則を使いこなす
実際に授業をするに当たっては向山洋一氏が提唱した授業の原則十箇条を使いこなすことを目標にするのが良いでしょう。みなさんはこの中のいくつ「自信を持ってできている!」とチェックできますか。
□ 第1条:趣意説明の原則
□ 第2条:一時一事の原則
□ 第3条:簡明の原則
□ 第4条:全員の原則
□ 第5条:所持物の原則
□ 第6条:細分化の原則
□ 第7条:空白禁止の原則
□ 第8条:確認の原則
□ 第9条:個別評定の原則
□ 第10条:激励の原則
向山洋一著『授業の腕を上げる法則』(明治図書)より
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今日は学芸会です。毎日の練習を通して、子供たちはこちらの期待以上に大きく伸びました。子供たちの成長する様子を毎日、目にすることができ、とても楽しかったです。少々不遜な物言いかも知れませんが、保護者の方以上に子供たちの変化を感じられるのが教師の仕事だと思っています。何と喜びの多い仕事でしょう。教師の仕事ほど素晴らしく、楽しいものは無いなと思っています。
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